共同研究プロジェクト
分野を越えた日本学研究を推進するために「共同研究プロジェクト」を展開しています。
2026年度からは、センター専任教員が研究代表者を務める研究課題を、最長6年間まで実施可能とし、
その成果として国際共同編著書(Edited Volume)の刊行を目指すプロジェクトへと発展させました。
本プロジェクトは、国内外の日本学研究の手法を統合し、
さらに日本学研究とデータ駆動型研究の融合を実践することで、
新たな学術展開を切り拓き、「統合日本学」の構築を実現していくことを目的としています。
冷戦の再検討・20世紀後半の新たなグローバル・ヒストリーへ
研究代表者:クレイグ・クリストファー(東北大学 統合日本学センター 教授)
研究分担者:安達 宏昭(東北大学 統合日本学センター センター長 / 大学院文学研究科 教授)
本研究プロジェクトは、「冷戦」期をグローバルな視点および終結後30年の知見に基づき考察する。米ソ対立軸の従来の語りから排除されてきた地域(日本・ベトナム・アンゴラ等)の研究者を結集させ、多言語史料のデータベース化やデジタルヒューマニティズ(LLM等)の活用を通じて、20世紀後半の歴史を捉える新たなグローバル・パラダイムの構築を目指す。
メディア横断的創造のダイナミクス――近代日本の舞台芸術・映画・文学における翻案・創作・協働
研究代表者:ハウカンプ・イリス(東北大学 統合日本学センター 准教授)
研究分担者:赤井 紀美(東北大学 統合日本学センター / 大学院文学研究科 准教授)
20世紀前半の日本における舞台・映画・ラジオ・出版を越えたメディア横断的な創作実践を対象とする。「前進座と久保栄の協働」および1930年代の脚本家集団「鳴滝組」に焦点を当て、史料調査や精読に加えて日本の人名データベース(JBDB)を用いたデータ駆動型のネットワーク分析を行う。一次資料のデジタル化(ToUDA収録)および国際シンポジウム開催・オープンアクセス論文集刊行を目指す。
東北地方方言資料のデジタルアーカイブ構築と総合的研究
研究代表者:ミラーズィ・ルカ(東北大学 統合日本学センター 准教授)
研究分担者:ジスク・マシュー(東北大学 大学院国際文化研究科 准教授)
1960年代から東北大学に蓄積された貴重な方言音声・調査票・フィールドノート等の資料群を一体的にデジタル化し、長期保存と学術利用を可能にする研究基盤を構築する。音声と関連資料のデジタル統合、国際標準規格の導入、AIによる自動言語注釈・解析の導入を進め、東北6県を代表する6方言の文法スケッチ等をまとめた英文論文集(オープンアクセス)の刊行を目指す。
文学作品および映画作品における「周縁」の表象と意義
研究代表者:魏 然(ウェイ・ラン)(東北大学 統合日本学センター 助教)
研究分担者:仁平 政人(東北大学 統合日本学センター / 大学院文学研究科 教授)
社会の「周縁」とされてきた地域に注目し、そこに生きる人々の経験や文化・地域的つながりを文学や映画作品(青森と寺山修司、大阪のマイノリティをテーマとする作品)を通して考察する。「周縁」が新たな文化や人とのつながりを生み出す豊かな場であることを明らかにしつつ、東北出身労働者の大阪への移動に関する新聞記事テキストマイニング等を行い地域間移動の可視化を図る。
マルチ・ライフ人文学に向けて:可能性と課題
研究代表者:黄 天元(東北大学 統合日本学センター 助教)
研究分担者:越智 郁乃(東北大学 統合日本学センター / 大学院文学研究科 准教授)
生物学的な分類限界を超え、人間の知識や想像の内外に存在する生の様々な形を探る「マルチ・ライフ人文学」の構築を目指す。江戸〜太平洋戦争期の非常時における薬草利用・知識の変容の歴史学的・医療人文学的考察(黄)および、大学における献体・実験動物の慰霊儀礼の変遷から見る科学的合理性と宗教的ケアの共存に関する文化人類学的考察(越智)を柱として学際的協働モデルを開発する。
社会に表象することば―消費される少数言語の動向
研究代表者:ダールバーグ=ドッド・ハナ(東北大学 統合日本学センター 助教)
研究分担者:中西 太郎(東北大学 大学院文学研究科 准教授)
方言を含む「少数言語」がテレビ・文学・商品グッズ等のメディアでいかに活用され、日常の言語認識や保護にどう影響するかを検証する。東北地方を拠点に、方言学・メディア学・社会言語学等の知見と東北大学デジタルアーカイブ等の資料を活用した複合的アプローチを採用し、言語の商品化・消費・保存の境界を問い直す。
身体で経験される現実ーー1960年代以降の越境する日本
研究代表者:タイルンロート・アジャナー(東北大学 統合日本学センター 助教)
研究分担者:茂木 謙之介(東北大学 統合日本学センター / 大学院文学研究科 准教授)
1960年代から2000年代にかけて、大きな社会歴史的変化が人びとにどのように経験され媒介されたかを「身体で経験される現実」の視点から解明する。文学・メディア精読と社会史・文化人類学等の手法を接続し、ToUDAや国会図書館等のデジタルアーカイブを活用してアジア・世界の越境的文脈のなかで日本を考察する。
金融社会の展開―近世・近代日本における経済の世界史的な意義―
研究代表者:ダミコ・ジョン(東北大学 統合日本学センター 助教)
研究分担者:酒井 一輔(東北大学 統合日本学センター / 経済学研究科 准教授)
近世から近代にかけて金融がいかに展開し社会に浸透したかを比較史的に解明し、西欧中心の金融史通説を再考する。東北大学所蔵の豊富な経済史史料のデジタル化とAI翻刻により新たなデータセットを構築し、デジタル・ヒューマニティーズや経済学の手法を統合して新たな比較経済史を世に問う。
日本文書のためのAI研究基盤の構築――機械翻訳・手書き文字認識・意味検索による統合日本学の国際展開
研究代表者:ニアディッヒ・セバスチャン(東北大学 統合日本学センター 助教)
研究分担者:加藤 諭(東北大学 統合日本学センター 副センター長 / 学術資源研究公開センター史料館 教授)
AIを日本史料に応用するための研究基盤を構築する。「Dharmamitra」への日本語文献統合、くずし字AI認識(OCR/HTR)モデル開発、意味検索・RAG基盤構築を段階的に進め公開アプリとして結実させる。ワークショップ等を通じた次世代人材育成や国際会議での年次成果発表を積極的に実施する。
The Long1960s研究の国際的展開と東北大学学生運動資料の英訳化事業
研究代表者:安達 宏昭(東北大学 統合日本学センター長 / 文学研究科 教授)
研究分担者:加藤 諭(東北大学 統合日本学センター 副センター長 / 学術資源研究公開センター史料館 教授)
高度成長期の構造変化と記憶を比較考察する「長い1960年代」研究を推進する。東北大学史料館所蔵の1968年学生運動関連資料(ビラ・委員会記録等)をローマ大学ラ・サピエンツアとの連携により英訳・テキスト化しデジタル公開することで、世界の研究者への活用と国際的研究拡大を図る。
身体観の日本-海外比較研究:髭・顔・タトゥーに注目して
研究代表者:阿部 恒之(東北大学 統合日本学センター / 文学研究科 教授)
研究分担者:荒井 崇史(東北大学 統合日本学センター / 文学研究科 教授)
髭(男性性の象徴)、顔(ヒジャブによる被覆と容貌印象)、タトゥー(規範と逸脱行動)を巡る身体観について、日本・インドネシア・タイ・台湾における国際比較調査を実施する。文化的規範と逸脱行動の関係や身体的捉え方の文化差が生じる要因・影響を解明する。
日本食とアジア食文化の比較―歴史的文脈及び感性的な観点を中心にー
研究代表者:坂井 信之(東北大学 統合日本学センター / 大学院文学研究科 教授)
研究分担者:野地 智法(東北大学 統合日本学センター / 大学院農学研究科 教授)
日本食とアジア各地の食文化を、文化的・歴史的文脈および心理・生理的感性の観点から比較分析する。従来の栄養学の枠組みを超えて共通点と相違点を明らかにすることで、アジア文化の解明と日本食文化の独自性明確化を目指す。
もつれ合う「記憶の構成体」:グローバル化する戦争記憶の国際比較研究
研究代表者:越智 郁乃(東北大学 統合日本学センター / 大学院文学研究科 准教授)
研究分担者:石井 弓(東北大学 統合日本学センター / 東北アジア研究センター 准教授)
欧州周辺諸国(越智)およびアジア(石井)における戦争記憶が、グローバルな「記憶の構成体」の中でいかに相互影響し記憶空間を形作ってきたかを検証する。単なる地域比較を超えて共鳴・対立・連帯を通時的・共時的に議論し、大国対立時代の新たな「記憶の連帯」の可能性を探る。
戦後日本におけるオカルトと東北地方―東北心霊科学研究会を中心に―
研究代表者:茂木 謙之介(東北大学 統合日本学センター / 大学院文学研究科 准教授)
研究分担者:加藤 諭(東北大学 統合日本学センター 副センター長 / 学術資源研究公開センター史料館 教授)
クラウタウ・オリオン(東北大学 統合日本学センター / 大学院国際文化研究科 准教授)
仁平 政人(東北大学 統合日本学センター / 大学院文学研究科 教授)
赤井 紀美(東北大学 統合日本学センター / 大学院文学研究科 准教授)
1946年に結成された「東北心霊科学研究会」の活動を基点に、戦後日本における「心霊学」と科学・文化・アカデミアの関係を多角的に探術する。資料調査等を通じたネットワーク解明や学際的視座(文学・歴史学等)からの追究により、戦後地域社会と心霊学の関係を考究する。
歴史公文書のデジタルアーカイブに関する⽣成AI活⽤についての共同研究
研究代表者:加藤 諭(東北大学 統合日本学センター 副センター長 / 学術資源研究公開センター史料館 教授)
研究分担者:片倉 峻平(東北大学 統合日本学センター / 学術資源研究公開センター史料館 特任講師)
メタデータ付与のリソース不足や分野ごとの利用方針の違いという課題に対し、デジタルアーカイブを生成AIが利用可能なデータとして構造化する国際共同研究を実施する。デジタル学術空間の知識基盤の国際的モデルを構築し、DX-AI時代における日本文化・人文学の進むべき方途を示す。
2次元の恐怖!:北米と日本のホラー漫画における表現技法の発展の比較研究
研究代表者:クレイグ・クリストファー(統合日本学センター 教授)
研究分担者:コピローワ・オーリガ(文学研究科 特任助教)
20世紀後半における日本のホラーマンガとアメリカのホラーコミックの発展を辿り、比較分析を行う。特に1990年代以前に出版された日本のホラーマンガとアメリカのホラーコミックに焦点を当て、両国におけるホラーコミックの形成期における表現的・形式的特徴を比較する。
近現代日本研究におけるローカリティの表象と可能性
研究代表者:魏 然(統合日本学センター 助教)
研究分担者:仁平 政人(文学研究科 准教授)
文芸作品および映画作品におけるローカリティの表象を手がかりに、地域文化と創造的表現との相互作用を検討する。文学者および映画作家が創作活動を通じて地域固有のアイデンティティをいかに認識・構築し、文化的想像力を介して可視化しているのかを分析対象とする。
20世紀後半日本の文学・メディアにおける分断された現実の媒介
研究代表者:タイルンロート・アジャナー(統合日本学センター 助教)
研究分担者:茂木 謙之介(文学研究科 准教授)
「分断された現実」とは、トラウマ、不安定性、環境危機、情動的な違和感などといった要素により断片化された、重層的・変動的なリアリティを指す。1960年代から2000年代にかけて、日本社会における歴史的・経済的・感覚的な断絶と変容が、文学やメディアにどのように表象され、いかに「現実」(または「非現実」)の再構築へとつながってきたのか検討する。
東北大学所蔵の近世・近代日本経済史史料のデジタル化と総合研究
研究代表者:ダミコ・ジョン(統合日本学センター 助教)
研究分担者:酒井 一輔(経済学研究科 准教授)
東北大学経済学部所蔵の煙山村文書・今井村文書のマイクロフィルムと、東北大学附属図書館所蔵の小谷文書のデジタル公開と研究を行う。本学所蔵の史料に基づいた研究基盤を構築するとともに、国内外の研究者による教材・研究対象としての活用促進を図る。
The Long1960s研究の国際的展開と東北大学資料のデジタルテキスト化事業
研究代表者:安達 宏昭(文学研究科 教授)
研究分担者:加藤 諭(学術資源研究公開センター史料館 教授)
世界規模で起こった高度経済成長下での諸側面や記憶、その後への変化を比較検討することで、現代社会の問題点や構造を明らかにする。併せて、東北大学総合知デジタルアーカイブで公開している史料の英文化作業を通し、この研究の国際的な拡大を図る。
身体観の日本-海外比較研究
研究代表者:阿部 恒之(文学研究科 教授)
研究分担者:荒井 崇史(文学研究科 教授)
日本を含む東アジアでは、いまだにタトゥーへの忌避反応が強いが、欧州ではタトゥーをする人は珍しくない。本共同研究では、自分の身体をどう捉え、どう扱うかという「身体観」について、その文化差が生じる要因やもたらす影響を明らかにするため、デジタルアーカイブを活用したデータ収集および国際比較を行う。
日本中世文書の英訳とデジタル・フィジカル発信
研究代表者:柳原 敏昭(文学研究科 教授)
研究分担者:ダミコ・ジョン(統合日本学センター 助教)
文学研究科日本史研究室所蔵の古文書群「朴沢文書」について、英訳、英文解説の作成を進める。その上で、本学の総合知デジタルアーカイブ(ToUDA)および学術雑誌への掲載と、附属図書館での展示会によってデジタル・フィジカルの両形態から発信を試みる。
戦争記憶の世代間継承に関する学際的研究:トラウマの語りと共有に注目して
研究代表者:越智 郁乃(文学研究科 准教授)
研究分担者:石井 弓(東北アジア研究センター 准教授)
戦争記憶の継承について、戦争体験の語りと共有に関する実態の国際間比較を通じて議論することで、ナショナリズムに収斂しない記憶研究の地平を拓くことを目指す。特に、これまで個人的なものとされてきた戦争トラウマに注目し、物語化・表象化という行為によってそれが他者と共有されることの意味について論じる。
MLAデジタルアーカイブに関する⽣成AI活⽤についての共同研究
研究代表者:加藤 諭(学術資源研究公開センター史料館 教授)
研究分担者:菊谷 竜太(統合日本学センター 准教授)
片倉 峻平(学術資源研究公開センター史料館 特任講師)
現在国内外を問わず貴重資料・図書のデジタルアーカイブ化が進められており、その過程で重要視されているのが「データについてのデータ」とも形容されるメタデータである。統合的、横断的なメタデータ整備に向けての諸課題の解決を図るため、本プロジェクトでは生成AIを活用したメタデータ付与の可能性を国際的な共同研究の体制のもとで検討する。
多種共存の日本学に向けて:可能性と課題
研究代表者:黄 天元(統合日本学センター 助教)
研究分担者:越智 郁乃(文学研究科 准教授)
マルチスピーシーズ(多種共存)の視点から、日本の歴史・社会・文化において人間でない生物が持つ主体性と、彼らが様々な人間経験の形成に果たす役割を分析する。総合知デジタルアーカイブの活用、歴史学・人類学と医学・薬学分野の知見の融合により、包括的かつ統合的な理解を目指す。
データ駆動型研究の融合による日本仏教文献の高度デジタル化とAI解析
研究代表者:ニアディッヒ・セバスチャン(統合日本学センター 助教)
研究分担者:菊谷 竜太(統合日本学センター 准教授)
日本語訳仏典の版面画像と校正済みテキストが対応した高品質なデータから、画像と文字情報をあわせて扱う視覚言語モデル(VLM)の基盤構築を目指す。これにより、日本語資料の高度デジタル化、AIモデル学習のための基盤整備、および日本発資料への世界的アクセス向上に貢献する。