本共同研究プロジェクトは、方言を含む「少数言語」 (minoritized languages)が、テレビ、文学、商品やグッズなどのメディアにおいてどのように活用されているか、そしてそれが日常生活におけるそれらの言語の認識や保護にどのような影響を及ぼすのかを検証するものである。日本では、100年近くにわたる積極的な抑圧を経て、1980年代から方言に対する関心が高まっており、その変化はテレビ番組や広告など、多くの場面で観察されるようになった。言語の均質化に向けた取り組みの後に、その言語の非標準的なバリエーションへ関心が再び高まるという現象は、日本に限ったことではなく、実際、英国やドイツをはじめとする多くの国々でも見られる。
こうした国境を越えた共通点を背景に、本共同研究プロジェクトでは、方言学、メディア学、社会言語学、観光学、およびその他の関連分野の視点を活用し、東北大学デジタルアーカイブ等のデジタル資料を活用しながら質的・量的の複合的アプローチを採用し、方言を含む少数言語が「消費されるもの」として扱われるという現象に焦点を当てる。少数言語の使用が、テレビ番組などのセールスポイントになることには、どのような意味があるのだろうか。地方のお土産に現地の少数言語を用いることは、その商品の価値がどのように変化するのか、アンドそのような使用に対してその言語の使用者はどう思っているのか。さらに、日常生活のどの場面で少数言語の使用が見られ、アンドどの場面で見られないのか。本プロジェクトは、東北地方を拠点として、地域および国際的な事例を通じてこうした問いを検証し、言語の商品化、消費、保存の境界を問い直すことを目的とする。