20世紀前半の日本では、小説家、劇作家、映画制作者、俳優、作曲家、音響技術者たちが、舞台・映画・ラジオ・出版の境界を越えて活動していた。彼らは互いの作品を翻案し、声や映像を異なるメディア間で移し替えながら、近代日本文化の形成を支える共有の創造的ネットワークを築いていった。本研究は、こうしたメディア横断的な創作実践を中心的な研究対象とする。
具体的には、劇団・前進座と劇作家・久保栄の協働、および1930年代日本映画における脚本家集団「鳴滝組」という二つの事例群に焦点を当てる。文学研究、演劇史、映画研究、サウンド・スタディーズを横断し、史料調査と作品の精読に加えて、日本の人名データベース(JBDB)を用いたデータ駆動型のネットワーク分析を行う。
一次資料を整理・目録化し、可能なものについてはデジタル化した上で、東北大学デジタルアーカイブ(ToUDA)への収録を目指す。最終成果として、国際シンポジウムを開催し、オープンアクセスの論文集を刊行する。