近現代日本研究におけるローカリティの表象と可能性

共同研究

近現代日本研究におけるローカリティの表象と可能性

研究期間 2025年8月 - 
研究代表者 魏 然(統合日本学センター 助教)

研究概要

 本共同研究は、文芸作品および映画作品におけるローカリティの表象を手がかりに、地域文化と創造的表現との相互作用を検討する。文学者および映画作家が創作活動を通じて地域固有のアイデンティティをいかに認識・構築し、文化的想像力を介して可視化しているのかを分析対象とする。また、ナショナリズムとローカリズムの関係とは何か等の問題にも着目する。

 研究代表者の魏然は、1970年代から現代に至る日本文学における大阪市西成区釜ヶ崎の表象に着目し、日雇い労働者自身の語りを通じて、彼らの生活・文化・歴史の描かれ方を考察することを目指している。デジタル・ヒューマニティーズの方法を用い大阪へ移住した労働者たちの情報を整理、分析していく。研究分担者の仁平政人は、1960~70年代の前衛的な文学・芸術における「東北」表象について、デジタルアーカイブを含む広範な資料調査を通して分析し、その意義の考察を試みる。特に、寺山修司の演劇や詩歌における「青森」の表象について、①同時代までの「東北」に関する言説との関係性、②同時代の芸術家・知識人との交通や前衛芸術の文脈との関わりという両面から分析する。また、寺山の作品や活動が同時代の東北地方でどのように受け止められたのか、資料調査を通して検討を行う。

 さらに、研究協力者たちがそれぞれ取り組む福島研究、広島研究、北海道研究を通じて、多様なローカリティと地方文化の関係を明らかにする。

研究メンバー

魏 然

研究代表者
東北大学 統合日本学センター 助教

専門分野:大阪文学

仁平 政人

東北大学 大学院文学研究科 准教授

専門分野:日本文学

その他参画者

・Edwin MICHIELSEN
(University of Hong Kong, School of Modern Languages and Cultures, Assistant Professor)

・Michael CRONIN
(The College of William & Mary, Japanese Studies Program, Associate Professor)

・Wei XIANG
(Peking University, School of Foreign Languages, Postdoctoral Fellow)

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