ごあいさつ

国内外の研究者が連携し
新たな人文知を創造します。

統合日本学センター長 柳原 敏昭

2023年10月1日、東北大学に統合日本学センターが誕生しました。

近年、東北大学では「支倉リーグ」の結成と拡充、日本学国際共同大学院の開設など、日本学をキーワードとして、研究振興と国際学術交流を進めてきました。2022年9月には、世界14カ国25大学の教員・学生をお招きして「支倉サミット」を開催し、文科系の学問の振興について議論しました。その成果は、本学と海外7大学の学長・部局長連名の「支倉宣言」として発表されています。こうした実績の上に開設されたのが統合日本学センターです。

「統合」は二つの意味を持っています。

ひとつ目は、緻密な実証性を重視する研究手法と、理論や概念的把握の独創性を重視する研究手法との統合です。これは、上記の活動の中で、強く意識されるようになった課題であり、二つの研究手法の統合によって、日本学が国際的な舞台で確固たる地位を占めることができると信じています。

ふたつ目は、従来型の人文学とデータ駆動科学との「統合」です。本センターの発足と並行して、東北大学では「総合知デジタルアーカイブ」の構築計画をスタートさせました。国宝2点をはじめとする本学の誇る学術資源のデジタル情報を、国際標準のデータベースに搭載し、全世界に発信しようというものです。本センターとこの計画を有機的に連関させることで、新しい分野が開拓されていくと考えています。

以上を実現するために、本センターでは、日本学を専門とする外国人研究者を常勤スタッフとして多数採用し、国内外の研究者と共同で研究を進めていきます。国籍やジェンダー、人文系・社会科学系・理工学系といった分野・方法論の壁を超えた一種の「統合」が起こり、新しい人文知が創造されていくことが期待されます。

本センターは産声を上げたばかりですが、国内外、大学内外の方々のご協力を仰ぎながら、所期の目的を達成していきたいと考えています。ご支援のほど、よろしくお願い申し上げます。